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2015.01.16

Apple Payとスマホ決済は競合しない?

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Apple Payとスマホ決済事業者のポジショニングの違い


2014年10月米国で『Apple Pay』がリリースされた。いつ日本でサービス開始となるのか国内のユーザーのみならずクレジット業界の関心度は非常に高い。なお、Apple社は2014年12月現状米国以外でのサービス開始については公表していない。
 
一方でスマホ決済(MPOS)サービス事業者の米国最大手のSquare社のCEOのジャック・ドーシー氏が、米CNN Moneyのインタビュー(2014年11月末)で興味深い発言をしている。「Apple PayとSquareは競合するのか?」の問いに対して「Apple Payは、同じスマートフォンを使ったサービスであるが、支払いの手段の1つである。Squareはすべての支払い手段に対応していく。」とのことである。
 
確かにNFC(Near Field Communication)を利用したApple Payは、支払側のカードに代わるものであり、iTunesストアの決済を除き、スマホ内ではカード決済機能は提供しない。実際の対面店舗での決済は、Visaの『payWave』やMasterCardの『PayPass』などのNFCのリーダー端末の機能を利用する形なので、MPOSはそれらと同列の位置付けになる。ということである。要は、SquareはスマートフォンやタブレットのNFCのリーダー機能を利用して、Apple Payの支払を受ける側のサービスを目指しているということのようである。MPOSサービス事業者の戦略としては、ごく自然な話であろう。
 

スマホ決済事業者の目指す方向性とApple社の今後の狙いとは


現状世界中のMPOSサービス事業者の喫緊の課題は、EMVの接触型ICチップへの対応である。国際カードブランドが事実上、磁気ストライプ取引を禁止するようなレギュレーション変更を、2015年1月実施した。各カード会社(アクワイアラ)を経由して、MPOSサービス事業者にドングル型のリーダーに追加して、EMVの接触型ICチップのリーダーを要請しているとのことである。磁気ストライプ取引では1リーダーあたり1,000円以下の製造コストが、EMVの接触型チップのリーダーは一般的には10,000円~30,000円/台程度になるといわれている。

このコストはMPOSサービス事業者のビジネスモデル自体が大きく変えてしまうかもしれない。リーダーの単価は、もちろん製造ロットにより大きく変わり、米国で最大の加盟店数をもつSquare社は、1台あたり30USD(3,000円程度)で2015年4月に発売するとリリースしている。

その一方で2014年10月にリリースしたiPad Air2/Mini3にはNFCチップがすでに実装されているという(Apple社は公式に公表していない)。すでに非接触のEMVチップ対応については、Apple Payで経験しているため、これらをリーダー+レジ機能として使用していくことが容易に想像できる。ただし現状では内蔵のNFCチップはApple Payのみで使用されており、APIも公開されていない。それらが開始されることが条件となるが、MPOSサービス事業者としては、コスト高のEMV接触型ICチップのリーダーをBluetoothインターフェースやイヤフォンジャックなどの外付けで対応するよりも、既にハードウェアに同梱されている機能を利用したほうがはるかに安価に済むはずだ。

また日本では、前述のApple Payの決済に必須となるVisaの『payWave』やMasterCardの『PayPass』などのNFCのリーダー端末が、ほとんど普及していないため、これらを受ける端末としてもNFCリーダー対応のMPOSサービスの役割は大きいと考える。ジャック・ドーシー氏のメディアでの一連の発言は、この辺を見越してのものだろう。Apple Payの1日も早いサービス開始とApple社のiOSデバイスのNFCチップのAPI開放を期待する。

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