QRコードを使ったスマホ決済「PayPay」「LINE Pay」が次のステージに進もうとしている。運用と借入という金融機能が付け加わった。PayPayの「ボーナス運用」では、ポイント付与されたPayPayボーナスを運用することができる。あくまでも投資なので、元本が減ってしまうリスクもあるが、入れておくだけで増やすことができ、いつでも1円単位で引き出すことができる。また「お金を借りる」では、ジャパンネット銀行のカードローンがPayPayの中から利用できる。
LINE Payでも「LINEスマート投資」の他、株式、為替、暗号資産などの取引が可能になっている。また「ポケットマネー」による借入も可能で、LINEは信用スコアを算出するLINE Scoreも開始している。いずれも、お金を電子化して決済できるキャッシュレス決済を超えて、お金にまつわる多彩なサービスが利用できる金融サービスになろうとしている。
この点では、中国アリババの「アリペイ」が先行している。そもそもアリペイが中国で普及した原動力となったのが、2013年6月に開始した「余額宝」(ユアバオ)なのだ。
これはMMF(投資信託)のまとめ投資のような仕組みになっている。銀行に行けばMMF商品を購入することができるが、個人で投資できる金額には限界がある。そのため、銀行が提示をする利回りも一定幅に抑えられてしまう。しかし、アリペイの金融面を運営するアントフィナンシャルが、余額宝に預けられた資金をまとめて複数の銀行に再投資をする。額が大きくなるので、利回りも交渉次第で高く設定できる。その高い利回りの一部を利益とし、残りをアリペイ利用者に還元をするというものだ。
こうすることで、アリペイ利用者にとっては、個人で銀行と交渉するよりも手軽に高い利回りが確保できることになる。年利7%に迫る高い利息がついた時期もあった(現在は3%台で推移)。
これがアリペイ利用者を急増させた。余額宝は24時間いつでも1元単位で解約ができる。つまり、投資をするというよりも、財布の奥のポケットに入れておくだけで増えていく感覚なのだ。そのため、アリペイをインストールして、給料が出るとほぼ全額を余額宝に入れてしまい、必要な支払いはそこから行うようにしている人も多い。
また、お金が借りられる機能として2015年4月から「花唄」(ホワベイ。中国語では花はお金を消費するの意味。お金を使おう!といった語感の名称)を提供している。消費者金融機能だが、お金を借りるというよりもクレジットカードの分割払いやリボルビング払いの感覚に近い。お金を借りてチャージをするのではなく、ECなどで買い物をするときに花唄で支払う(チャージ残高がなくても、限度額内であれば決済できる)。原則は翌月9日が返済日だが、3回から12回の分割返済もできるようになっている。
この花唄の利用限度額を決めるのに使われるのが信用スコア「芝麻信用」(ジーマー信用)だ。主にアリペイの利用履歴から信用度を自動算出し、花唄の利用限度額を決めるのに使われている。次回は「芝麻信用」(ジーマー信用)による「先消費、後払い」時代について考察したい。(執筆:牧野 武文氏)
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