キャッシュレス決済の世代間の違い -若者は電子マネー、スマホ決済が多く、クレジットカードは少ない。利用額も小さい- | PCI DSS Ready Cloud

キャッシュレス決済の世代間の違い -若者は電子マネー、スマホ決済が多く、クレジットカードは少ない。利用額も小さい-

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前回、各種統計から見る世代別キャッシュレス決済の傾向を見てきた。あたらめて、キャッシュレス決済の世代間の違いはこうまとめたい。

若者:電子マネー、スマホ決済が多く、クレジットカードは少ない。利用額は小さい。
中高年:電子マネー、クレジットカードが多く、スマホ決済は少ない。利用額は大きい。

それでも、現金を使う中高年が多いように見えるのは、クレジットカードの利用場所上位が「ネット通販」「携帯電話支払い」という目に見えない決済=非対面決済によく使われているからだ。最近ではスーパーなどではよく使われるようになっているが、中高年は、コンビニや小規模飲食店では、現金を使うことが多い。

中高年が、小規模商店で、なぜ現金をいまだに使い続けるのか。理由は2つある。ひとつは、昔の感覚で「クレジットカードは高額決済にのみ使うもの」という習慣が抜けないことだ。もうひとつは「スマホ決済は複雑でわかりづらい」と思い込んでいること。

この問題を一気に解決すると注目されているのが、コンタクトレス決済だ。わかりやすくタッチ決済と呼ばれることもある。NFCチップを搭載した最新型のクレジットカードに交換する必要があるが、プラスティックのクレジットカードを端末にタッチするだけで決済が完了する。Suicaなどの電子マネーカードと同じ感覚でクレジットカード決済ができることになる。

また、スマホのApple Pay、Google Payにクレジットカードを登録しても、同じコンタクトレス決済が利用できる。現在、ローソン、マクドナルド、Ikea、TSUTAYAなどが対応済みで、今後もコンタクトレス決済は広がっていく見込みだ。
コンタクトレス決済のメリットは、簡単に決済できるということの他に、安全性も大きく上がる。詳細は省くが、トークナイゼーションと呼ばれるテクノロジーが使われ、カード番号を店舗に伝えない。トークンと呼ばれる仮番号のようなもので決済をする。トークン番号は万が一流出をしても、悪用できない仕組みになっており、カード番号はそもそも渡さないので流出のしようがない。理屈上はカード番号流出による不正利用をゼロにできる仕組みだ。中高年は、クレジットカードを主要な決済手段としているため、コンタクトレス決済が広がることで、中高年の対面でのキャッシュレス決済も大きく伸びていくと期待されている。この段階まで到達すれば、日本のキャッシュレス決済比率は50%を超えるようになり、50%を超えると、あとは雪崩を打つようにキャッシュレス社会に突入していくことになる。

店舗オーナーにとって、このようなキャッシュレス決済に対応をするのは、頭の痛い問題かもしれない。手数料や、設備の導入コスト、支払いサイトの長さの問題など、現金のみでいくか、キャッシュレスに対応するか、迷う方も多いと思う。しかし、店舗の売上を伸ばしたいのであれば、キャッシュレス決済に積極的に対応をしていくことが今後ますます重要になってくる。なぜなら、キャッシュレス決済は、現金をただ電子化しただけのものではないからだ。キャッシュレスにすることで、決済の仕方の幅を広げていくことができる。例えば、飲食店やホテルの「予約のドタキャン」が大きな問題になっているが、キャッシュレス決済導入で解決ができる。ウェブなどで予約を入れた段階で、予約料金、テーブルチャージなどを事前決済してもらう。お店にきていただいたら、総額からその分を引いた料金を決済し、無断キャンセルされたらキャンセル料としてそのままいただくことが可能だ。

飲食店などへの大量注文も、先に決済をしてもらうことが可能になる。店舗側も安心が得られるし、利用客側の利便性も高い。利用したことのない飲食店に初めて大量のテイクアウトを注文する場合は、気を使って、事前に店まで行き、内金や代金を置いてくるというケースもあると思うが、そういう二度手間をしなくて済むようになる。
また、お得意さんであれば、電話やメールで注文を受けても、すぐにキャッシュレス決済することができ、従来のような事後振り込みや代引き宅配便という回収が面倒で、リスクのある方法に頼らなくて済むようになる。キャッシュレス決済というのは、お金の電子化ではなく、決済手段の電子化であり、それは、さまざまな形の決済が可能になり、さまざまな形の販売方法が取れるということなのだ。経営する店舗の「手を広げる」ためには、もはやキャッシュレス決済は必須であり、そのための投資は決して高くない。

小規模商店で、「とても自前でキャッシュレス決済の設備や予約システムを用意することはできない」という方もいるかもしれないが、すでに業種ごとにキャッシュレスやウェブシステムをパッケージにしたプラットフォームが、さまざまな業者から提供されている。多くの場合、月額利用制のわずかな利用料で、キャッシュレス決済を活かしたビジネス展開ができるようになっている。このようなプラットフォームをよく比較検討して、自店舗に最も適したものを利用するというのが、最も簡単で安全な方法だ。

日本のキャッシュレス社会化は、どこかで頓挫をするか、ものすごく時間がかかるのではないかと見られていたところもあった。しかし、皮肉なことに、コロナ禍によって現金を手渡しするという感染リスクが避けられ、キャッシュレス化が一気に進むことになった。日本のキャッシュレス社会が実現することはもはや確定的になっている。ビジネスに携わる人は、その動きを見越して動いていかなければならない。(執筆:牧野 武文氏)

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