スマートフォン決済を起点にした新しい生活サービス -激変するインドのライフスタイル- | PCI DSS Ready Cloud

スマートフォン決済を起点にした新しい生活サービス -激変するインドのライフスタイル-

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クレジットカードのコンタクトレス決済が広がり始めている。タッチ決済と呼ばれることもあるコンタクトレス決済は、クレジットカードを交通カードのようにタッチするだけで決済が完了するというもの。PINコードを入力したり、サインをしたりする必要がなく、よりカードを利用しやすくなる。NFC(近距離無線通信)を利用しているためNFC決済と呼ばれることもある。

図)Apple Payのカード情報欄。デバイスアカウント番号に「MasterCard」「QUICPay」の2種類があることに注意。MasterCardの方はNFCコンタクトレス決済に使え、QUICPayはFeliCa電子マネーに使うことができる。どちらも、タッチするだけの簡単な決済方法だ。
カードをかざすだけで決済ができる利便性(NFCに対応したカードが必要)もあるが、スマートフォンでクレジットカードが扱えるようになることも大きい。Apple Pay、Google Payは以前からクレジットカードが登録できたが、以前は少しトリッキーな方法を使っていた。日本では、世界標準のNFC決済端末ではなく、独自のFeliCa端末が普及をしたため、スマホ内にバーチャルなFeliCa電子マネーカードを生成し、決済時にはこの電子マネーカードを使い、その決済額をクレジットカードから引き落とすという2段階方式を採用している。
しかし、NFC決済端末が普及をしてきたことにより、電子マネーを介さずに直接クレジットカードからコンタクトレス決済を行えるようになった。これは2つの利点を私たちにもたらしてくれる。
1)海外でもApple Pay、Google Pay経由でクレジットカード決済ができる
2)スマホを起点にした新しいサービスが登場してくる

例えば、ファストフードなどのモバイルオーダー。会社にいて、スマホからコーヒーを注文し、それからカフェに行く。カフェについた頃にはコーヒーができあがっているというものだ。あるいはタクシー配車。スマホでタクシーを呼ぶ。いずれも注文時に決済も同時に済ませてしまうのがポイントだ。これが大きな利便性をもたらしてくれる。
せっかく、モバイルオーダーをしたのに、レジに並んで決済をするのでは意味がないし、タクシーでも降りる時の決済は意外に時間がかかる。決済というステップがなくなることで、利用体験が向上し、消費者が利便性と快適さを感じるようになり、利用頻度が増えていく。提供業者側では、レジカウンターが不要になり、決済対応業務が不要になっていく。

社会全体の消費関連の業務効率を大きく向上してくれる起点となるのがスマホ決済。逆に言うと、スマホ決済が普及をすることで、さまざまな新サービスが登場してくることになる。世の中がどのように変わっていくのか、その参考になるのがインドだ。インドでは、中国アリババの技術支援を受けて、スマホ決済「Paytm」(ペイティーエム)が2010年から始まっている。日本のPayPayもこのPaytmの技術協力を受けているという先輩格にあたるスマホ決済。このPaytmが普及したことで、インドでは新しいサービスが花開いている。

bbdaily(https://www.bbdaily.com/)は食材配送サービスで、スマホから注文ができる。注文の6割が新鮮な牛乳だが、果物やパン、野菜なども扱っている。短時間で届けてもくれるが、毎日決まった時間に配送してくれるサービスもある。

日本のウーバーイーツや出前館に相当するフードデリバリーサービスも人気になっていて、インドでは、ZomatoとSwiggyという2つのサービスが競争をしている。Zomatoにはアリババが投資をし、Swiggyにはアリババのライバル企業である中国の美団が投資をするという中国の代理戦争のようなことになっている。競争があるために、両者とも利用者に大量のクーポンを配布しており、レストランで食べるより安いという理由でフードデリバリーを利用する人も増えている。

タクシーサービスではOla(https://www.olacabs.com/)がある。タクシーと言っても、リキシャ(三輪車)やバイクが主体だ。それでも200都市でサービスを展開している。

面白いのはバイクタクシーだ。運転手がバイクでやってきて、後ろに乗せてもらう。もちろん、1人しか乗れないが、交通渋滞が激しいインドでは、バイクで移動した方が圧倒的に早いのだ。また、面白いことに女性の利用客も多い。インドにもウーバーが進出をして、自動車によるライドシェアサービスが始まっているが、治安が決していいとは言えないインドで、女性客が男性運転手と自動車という密室に入ることに抵抗感があるのだという。バイクの場合、運転手に密着せざるを得ないが、それでもいざという時には、周りに助けを求めたり、走って逃げることができるという安心感があるのだという。

図)Olaの基本はリキシャと呼ばれるオート三輪車タクシー。この他、渋滞を避けることができるバイクタクシーもある。さらに、高級車でお出迎えのハイヤーも用意されている。公共交通が充実していないインドでは、Olaが重要な交通インフラになっている。

渋滞を避けるため、自転車で移動する人も増えている。Yulu(https://www.yulu.bike/)はシェアリング自転車サービスで、16都市でサービスを展開している。2019年からは電動自動車も投入している。時速25kmで走行する電動バイクで、利用料は3km以内で20ルピー(約29円)。

買い物が必要になったら、BigBasketなどのECもあるが、すぐにほしいというのであればDunzo(https://www.dunzo.com/)がある。現在、バンガロールなどの8都市でサービスを展開していて、スマホで注文したものを45分で届けてくれる。届け先は、自宅だけでなく、オフィスや公園など別指定することも可能だ。公園でバーベキューをしていたら、お肉が足りないかも?そんな時にも食材を届けてもらうことができる。

配送だけでなく、誕生日プレゼントなどを相手先に配達する、クリーニングの受け渡し、宅配便の代理発想などサービスが多角化していて、なんでもやってくれるバイク便のような感覚になってきている。この配送員の仕事は、農村出身者にとっては手頃な仕事になっていて、農村から都市への人口移転も起こり始めているという。

さらに、人を配送してくれるサービスまで登場している。Urban Company(https://www.urbancompany.com/)だ。スマホで注文をすると、エステ、清掃、修理などのエキスパートを自宅に派遣をしてくれるサービスだ。さまざまなエキスパートが揃っていて、最近では新型コロナウイルス予防の消毒エキスパートの需要が高いという。


Urban Companyは、人を配送するサービス。エステ、修理、清掃などのエキスパートが自宅にやってきてくれる。自宅エステは経済的にゆとりのある女性の間で人気になっている。
もちろん、このようなO2Oサービスが充実しているのは都市部に限ってのことだが、日本の都市部よりも発達していることは確かだ。それまでの世の中は、商品やサービスがある場所まで自分が移動していく必要があった。O2O社会では、それが逆転して、商品やサービスが自分のところに移動してくる。それが可能にしたのはスマホ決済だ。スマホから簡単に注文ができ、同時に決済まで行えるという利便性が、このようなO2Oサービスを可能にしている。日本もキャッシュレス比率があがってきて、スマホ決済が広まるにつれ、このようなO2Oサービスが続々と登場してくることになる。これが個人商品を押し上げていくことになるのだ。(執筆:牧野 武文氏)

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