2021.07.10

1台でキャッシュレス決済に対応OK。マルチ決済端末のメリットとは【マルチ決済端末の基礎知識】

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マルチ決済端末とは

キャッシュレス決済は、次の3つが主なものです(この他にも、プリペイドカード方式などもあります)。

1)クレジットカード
2)電子マネー
3)QRコード決済

さらに、電子マネー、QRコード決済には運営事業会社が複数あります。特にQRコード決済、バーコード決済はショッピングポイント感覚で運営できるため、無数に存在するといっても過言ではありません。総務省が推進している共通のQRコードで決済ができる「JPQR」の『統一QR「JPQR」普及事業』に現在、参加していることが公表されている事業者だけでも20事業者になります。

このような決済方式に個別に契約をして対応をしていくことも可能ですが、決済には専用の端末が必要となり、レジに無数の決済端末を接続しなければならなくなります。これはあまりにも非現実的です。

そこで、多くの店舗で利用されているのが、マルチ決済端末です。マルチ決済端末は、1台で複数のキャッシュレス決済に対応できるというものです。1台でクレジットカードの磁気ストライブリーダー、ICカード読み取り、NFC非接触決済、QRコード読み取りなどに対応をしています。


マルチ決済端末のメリット

1台の決済端末で多くのキャッシュレス決済に対応できる

1台の決済端末で、複数の決済方式に対応できるので、わずらわしさがありません。レジ周りもすっきりします。

入金日を統一できる

キャッシュレス決済は、それぞれに締め日と入金日が異なっています。月締めのものもあれば、数日に1回締めて入金をするものもあります。しかし、多数の決済方式に対応したことで、入金までの期間、入金日がバラバラであると、経理処理が非常に複雑になってしまいます。飲食店では、毎日の仕入れを都度決済(キャッシュオンデリバリー)にしていることも多く、最悪の場合、入金までの期間の関係で、資金ショートを起こしかねません。
マルチ決済端末を導入すると、それを提供する決済代行業者が、入金日をまとめてくれます。入金までの期間、入金日などは、交渉次第で店舗の資金繰り状況に合わせることも可能です。

決済手数料を統一できる

キャッシュレス決済は、それぞれに手数料の料率が異なっています。これも店舗の経理処理が面倒であり、資金繰り計画が立てづらくなります。決済代行業者の多くは、手数料の料率も統一しているのが一般的です。クレジットカード○○%、電子マネー○○%、コード決済○○%などと種類別で固定料率にしているため、経理処理、資金繰り計画が立てやすくなります。

将来のキャッシュレス決済にも対応できる

決済代行業者にもよりますが、将来登場するキャッシュレス決済にも対応が可能です。対応する決済ブランドが増えた場合は、マルチ決済端末のファームウェアやシステムのアップデートでの対応が可能です。また、マルチ決済端末そのものを交換する必要がある場合でも、レンタル、リースなどで契約している場合は、小さな負担での対応が可能になります。
ただし、ここの将来の対応は、マルチ決済端末を提供する決済代行業者、契約内容によるので、導入するときは、将来の対応がどうなるのかをよく確かめて、契約先を選ぶ必要があります。

マルチ決済端末の選び方

手数料の料率を、総合的に検討する

マルチ決済端末を導入するときに、誰もが気になるのが決済手数料の料率です。安ければ安いほどいいに決まっていますが、単純に料率だけを見て決めてしまうと、失敗をすることもあり得ます。例えば、料率は他の業者に比べて安いのに、マルチ決済端末のレンタル料金が高かったり、サポートが有料ということもあります。逆に、手数料の料率は高めに設定されていても、マルチ決済端末が無償で利用できる、サポートが手厚いというところもあります。料率の数字だけを見て決めるのではなく、必要なサービスを想定して、見積もりを請求して、総合的なコストで比較することが重要です。
また、業者が提示する見積りイメージだけでなく、実際の店舗の売上データに入力してみて、売上や経費、利益がどのように変化をするのか、複数の業者でどう違ってくるのかを比較検討してみることをお勧めします。こうすると、マルチ決済端末導入が、店舗の経営にどう影響するのかがわかりやすくなります。

マルチ決済端末のタイプを選ぶ

マルチ決済端末には、主に「据え置き型」と「モバイル型」の2種類があります。据え置き型は、POSレジに接続をして使うもので、従来のレジカウンターでの精算スタイルを維持するときに選択します。
モバイル型は、ワイヤレス接続なので、店内のどこでも使えます。単体でWi-Fiの通信機能を備えているもの、スマートフォンやタブレットに接続をして通信機能はスマホやタブレットに依存するものがあります。
このモバイル型を導入すると、テーブル会計が可能になります。飲食店であれば、レジカウンターにお客さんにきてもらうのではなく、飲食テーブルにモバイル型決済端末を持っていき、その場で会計をすることができるようになります。お客様の利便性があがるだけでなく、高級感を演出することができるようになります。
また、家具、大型家電、宝飾品などでは、ただ商品を渡すだけでなく、商品の内容確認や配送の手配などがあり、対面テーブルで接客をします。このような場合も、そのまま会計までできるようになると、接客品質がレベルアップするだけでなく、オペレーションの効率もあがります。
また、セールや地域の活動で、店舗前での路上や大型施設内に物販コーナーを臨時設置する時も、モバイル型のマルチ決済端末が活躍します。

付加サービスを検討する

極論をすれば、マルチ決済端末の性能の差というのはほとんどありません。手数料の料率も決済代行業者により異なりますが、どこも企業努力をし、大きな違いはありません。では、どこで競争をしているかというと付加サービスです。

マルチ決済端末選定のポイントは付加サービス

この付加サービスが店舗経営に役に立つかどうかという点も重要なポイントです。どのような付加サービスがあるかは、決済代行業者によって大きく異なりますが、一般的には次のようなものが多くなっています。

経営分析ソフトウェアの提供

多くの決済端末では、店舗ごとにクラウドの管理画面が用意され、そこで決済状況がリアルタイムで把握できるようになっているのが一般的です。この管理画面を拡張して、現金売上も入力することで、店舗の経営管理が可能になっている場合もあります。さらに売上分析などもできることが多く、店舗のDXが一気に進みます。

インバウンド対応

具体的には、中国で広く使われている銀聯カード(ユニオンペイ)、アリペイ、WeChatペイに対応しているものもあります。インバウンド対応をする店舗では必須の機能です。

分割払いに対応

多くの決済端末がクレジットカードの分割払いに対応をしていますが、分割払いをするにはクレジットカードの認証が必須となるため、1回払いにしか対応していない決済端末もあります。飲食店などではあまり重要ではありませんが、高額商品を扱う小売店では、必須の機能です。分割払いができないことで、購入を断念してしまうケースもあるからです。

継続課金(サブスク)に対応

スポーツジム、音楽教室、学習塾など、いわゆる毎月の定額払いをするサービスはすでにたくさんあります。それだけでなく、最近はコインランドリーやクリーニング、飲食店、美容室、マッサージ店などで月額定額課金、いわゆるサブスクリプションサービスが広がっています。店舗にとっては固定客を獲得できるというメリットがあり、利用客にとっては格安で利用できるというメリットがあるからです。継続課金に対応したマルチ決済端末では、最初の1回をクレジットカードで決済すれば、以後は何もしなくても自動的に決済が実行されます。

サブスクは、小売店にとって新しい販売方法として注目をされていますが、従来の決済方法では銀行引き落としか、毎月決済をしていくしか方法がありませんでした。それがクレジットカードで1回決済をするだけで、自動的に継続課金されるようになり、管理の負担が大きく減ります。

マルチ決済端末で効率化と店舗DXを同時実現

マルチ決済端末の導入は、店舗の決済業務を効率化するだけはありません。決済情報がデジタル化することで、クラウドやPCの経営分析ツールが使いやすくなり、簡単に経営分析ができるようになります。経営分析など必要がないと感じられている店舗経営者の方も多いかもしれませんが、商品別の売上グラフを表示してみるだけで、経験を積んだ人の目にはさまざまな気づきが得られるものです。特定の商品の売上推移に、週単位や月単位での周期性があるという発見だけでも、その後の店舗経営が大きく違ってきます。

また、モバイル型マルチ決済端末であれば、テーブル会計を導入して接客品質を向上させたり、店舗前販売を行い売上をあげ、顧客を呼び込むことができるるようになります。

さらには、継続課金の機能を利用して、サブスク販売を導入するなど、販売スタイルの幅も広がります。DX(デジタルトランスフォーメーション)というのは、高価なシステムを導入することではありません。効果的なシステムを導入して、販売形態を今の時代に合うように変えていくことです。店舗の場合、キャッシュレス決済に対応し、マルチ決済端末を導入することで、店舗DXが可能になります。キャッシュレス決済は、レジ締め作業が楽になるというだけのものではありません。店舗DXを推進していく起点になるのです。

コラム:キャッシュレス決済導入で、若者層の取り込みに成功した台湾の庶民派スーパー「全聯」

台湾台北市を中心に1000店舗を展開する庶民派スーパー「全聯」(PX Mart、http://www.pxmart.com.tw/px/index.px)は、同社が「顧客はママとおばあちゃん」と言うほど、キャッシュレス決済には縁遠いチェーンでした。しかし、そのままではECに負けてしまうと、2018年から独自のキャッシュレス決済の導入を進めます。
その決め手となったのが、ママさんヘルパー部隊でした。顧客とプロフィールが似ている中年女性のスタッフをヘルパーに任命し、顧客のスマートフォンにアプリを導入するお手伝いをしていったのです。その丁寧な導入作戦によりキャッシュレス決済利用者が増え、独自のスマホ決済PX PayがPX Martでの主流の決済方法になりました。

このスマホ決済導入成功によって、「PX Go!」というオンライン注文、短時間宅配のサービスを始めています。重たい食用油などを買うときに利用される一方、生鮮食料品は店舗にき、自分の目で確かめて買うなど、オンライン、オフライン双方での相乗効果が生まれています。

このPX Go!は若者にも受けています。それは「分批取」(フェンピーチー)という販売方法です。ペットボトル飲料やスナック菓子が主ですが、オンラインでケース買いができます。ケース買いですから、価格も大幅割引されます。受け取りは、台湾全土に1000店舗あるどこの店舗であっても、スマホの画面を見せることで、1個から受け取れます。つまり、飲料をまとめ買いをしておき、喉が渇いたら、PX Martに立ち寄り、1本だけ受け取る。コンビニで飲料を買うよりも面倒がなく、安く済むと人気になっています。
キャッシュレス決済を導入することで、オンラインでの販売、決済ができるようになり、店舗とオンラインを組み合わせることで、今までになかった販売方法を考案することができるようになります。その好例になっています。(執筆:牧野 武文氏)

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