株式会社メトロエンジン 様

“ 新サービスの宿泊予約エンジン「メトロブッキング」に必須とな る、PCI DSS 準拠のシステムを1ヵ月で構築。
低コストで、スピード感あるローンチに成功しました ”

AWSモデル
株式会社メトロエンジン 取締役 和田拓馬 氏

AIによるビッグデータ解析、需要予測を活用したレベニューマネジメントサービスを提供する株式会社メトロエンジン。取締役の和田拓馬氏に、PCI DSS Ready Cloud AWSモデル導入のきっかけや導入後の効果などについてお聞きしました。

導入事例のPOINT
  • 案件相談の1ヶ月後にはPCI DSS準拠が可能なインフラが納品
  • オンプレミスと比較して、1/3程度の低コストで実現
  • PCI DSSの要件等に精通しているエンジニアにタイムリーに相談

株式会社メトロエンジンの事業について

株式会社メトロエンジンは、ビッグデータを収集・分析し、マーケット状況を予測する技術を用いた事業を展開しています。2016年の設立当初から主に手掛けているのが、宿泊施設に向けたサービス。ホテル・旅館・民泊など宿泊施設の空き状況や価格情報を集積して需要を予測、部屋ごとの最適な宿泊料金をサジェストする「ダイナミックプライシングサービス」などを提供しています。

導入システムの概要

リンクのPCI DSS Ready Cloud AWSモデルを初めて利用したのが「チャネルマネージャー」というサービスです。これは、民泊のオーナー事業者が、複数の民泊サイトに部屋の空き状況や価格を掲載する際に、更新した宿泊情報を同期し予約状況を管理するものです。

そして今回、新たにPCI DSS Ready Cloud AWSモデルを活用してシステム構築を行ったのが、2019年6月にサービスを開始した「メトロブッキング」です。現在ホテル等の予約経路として主流になっているのがオンライン旅行代理店(OTA)※ですが、ホテルは手数料として予約代金の15-20%をOTAに支払っています。このコストを削減すべく、ホテルも自社サイト経由での予約獲得に力を入れています。そこで、このような課題を解決するサービスとして、安価で簡単に導入でき、アクセスとコンバージョンを大幅に改善させる工夫がなされている自社サイト用の予約エンジン「メトロブッキング」を開発しました。
※OTA:Online Travel Agent

従来、自社の予約ページはプランが大量に表示されたり、文字の量が多すぎたり、あるいは会員登録をさせたりすることが、ユーザ離脱の要因となっていました。メトロブッキングではユーザの入力作業を極力減らし、僅かなステップで予約完了できるコンバージョン特化型の仕様となっています。加えて、メトロブッキングには自社サイトの販促機能を搭載、効率的なアクセス増加も合わせて実現しています。

PCI DSS Ready Cloud AWSモデル導入のきっかけ

メトロブッキングで予約を行う際、当社が運営するサイトでクレジットカード情報を入力する必要があるため、メトロブッキングのシステムは高いセキュリティレベルを維持・運用する必要があります。また、宿泊・観光業界では近年、取引相手の企業にクレジットカード情報保護のためのセキュリティ基準である「PCI DSS」※への準拠を求めるケースが増えており、メトロブッキングのサービスをリリースするにあたっても準拠が必須であると判断しました。
※PCI DSS :Payment Card Industry Data Security Standard

PCI DSS Ready Cloud AWSモデルを選んだ理由

PCI DSS Ready Cloud AWSモデルを採用した最も大きな理由は、システムを自社で構築する方法、他社のサービスを利用する方法と比較して低コストで準拠環境を実現できることです。

PCI DSSに準拠したシステムの構築を行う業者に相談しましたが、かなり高額で納品まで半年以上必要でした。コンサルティング会社の支援を受けながら、自社でシステムを構築することも考えました。ただ、弊社のメンバーは高い技術力を持っていますが、PCI DSS環境の構築経験はありません。精通した人材を雇用しようにも決して簡単ではないことが予想できたので、PCI DSS Ready Cloud AWSモデルの見積もりを依頼したところ、それらの手段に比べて大幅に低価格だったのです。

また、弊社では以前から「チャネルマネージャー」というサービスで既にPCI DSS Ready Cloud AWSモデルを利用していて、今回のメトロブッキングでも前回と同じ環境をもう1つ構築する必要があると考えていたのですが、リンクのエンジニアから、同じ環境を作るよりも3分の1程度の低いコストで実現できるシステム拡張の提案をいただいたことも、大きな決め手となりました。

コスト以外の理由が、短納期での対応ですね。当社はスピード感のある経営を心がけており、サービスのアイデアが生まれ、プロジェクトが始まってから、だいたい1、2ヵ月で、MVP※を完成し、市場でテストマーケティングさせることを目指しています。メトロブッキングも、4月末にプロジェクトが始まり、6月中にリリースするというタイトなスケジュールを組みました。リンクにそのような短期の構築が可能であるか否か確認したところ、自信をもって「できる」との回答をいただき、本当に心強く感じましたね。
※MVP:minimum viable product:実用最小限の製品

なお、私たちの事業では、数々のクラウド型のアプリケーションを提供しており、アプリケーションサーバからデータベースまで、すべてAWS上で構築しています。PCI DSS Ready CloudにAWSモデルがあることも、採用を決める重要な要素でした。

導入時のエピソード・導入後の効果

作業や打ち合わせなどをなるべく前倒しにしたり、弊社のタイトなスケジュールに合わせて柔軟に対応していただけたことが有難かったですね。リンクのエンジニアは、PCI DSSの要件等に精通しているため、こちらからの質問にピンポイントの回答をいただき、すべきことを即答してくれたことで、スムーズな構築につながりました。

結果、4月25日に最初の相談をさせていただき、5月末にはシステム構築が完了。その後、当社での開発期間があり、6月中旬にサービスを開始することができました。リリース後も不具合が発生することもなく、システムは安定しています。コストの低さについても改めて実感しています。

リンク担当者の素晴らしい点として、私たちの事業について深く理解しようとする姿勢があります。低価格で実現できるシステム構成を提案していただいた、という話もそうですが、ユーザの事業内容を理解した上で、ニーズに合う最適な方法を提案してもらえます。最近では、担当者とお会いすると、システムの話だけではなく、当社のこれからの事業構想などを話し込むこともあります。長く付き合うほど、心強いパートナーになってくれる会社だと思いますね。

今後の展開・リンクへの要望

メトロブッキングには今後もホテルの収益改善に資する機能を増やしていく予定です。また、現在当社では、宿泊系で培ったノウハウを生かし、鉄道やレンタカーなど移動手段・観光・不動産の賃料査定など、シナジーが生まれ得る新たなダイナミックプライシングへの展開を積極的に進めている最中です。

データ保護に関する規制は厳しくなることはあっても、緩くなることは考えられません。PCI DSS準拠に関連する業務も、もっと増えていくものと考えられます。特に監視やログの保存、メンテナンスといった運用の部分の負担は大きくなることが予測されます。今後、リンクにはシステム構築だけではなく、運用のアウトソーシング等についても相談していきたいと思っています。
取材日:2019年6月 所属、業務内容、写真、インタビュー内容は取材当時のものです。

企業情報
社名:メトロエンジン株式会社
設立:2016 年 10月 31 日
代表者:代表取締役 CEO 田中 良介
本社所在地:東京都港区芝3-12-1 いちご芝公園ビル 6F
事業内容:宿泊施設向け WEB サービスの開発及び運用業務
U R Lhttps://metroengines.jp/

メトロエンジンは、ホテルや各業界向けにダイナミックプライシングや独自のデータから需要予測サービスを提供しており、ホテル向け事業では国内の主要ホテルチェーン30社以上と契約しています。今後、ホテル業界以外に、レンタカー業界や高速バス業界にもダイナミックプライシングの提供やメトロエンジン社の保有するデータを活用し、賃貸不動産の賃料査定や、コインパーキングのダイナミックプライシング、小売店の需要予測などの分野においてもサービスを展開予定です。