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2025.09.02

2026.09.08

PCI DSS 基礎解説

PCI DSSに準拠しないとどうなる?罰則やリスクと対応方法を解説

PCI DSSは、クレジットカード情報を扱う事業者が押さえておきたい国際的なセキュリティ基準です。
準拠を怠ると、情報漏えいによる損害賠償やカード決済停止、信用低下など、事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、PCI DSSを準拠しないことによるリスクや6つの目標と12要件まで実務で確認すべきポイントなどをわかりやすく解説します。
自社の対応範囲を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。


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PCI DSSに準拠しないとどうなる?

クレジットカード情報を通過・処理・保存する事業者がPCI DSSに適切に対応していない場合、カード情報漏えいだけでなく、損害賠償、決済停止、信用低下、行政上の問題など複数のリスクが生じます。
ここでは、PCI DSSを準拠しないまま運用した場合に想定される影響を解説します。

クレジットカード情報漏えいによる損害賠償

クレジットカード情報が漏えいすると、事業者は顧客対応、カード再発行、不正利用への対応、調査費用など多方面の負担を負う可能性があります。

被害件数が多いほど費用は膨らみ、損害賠償請求や取引先からの費用請求への発展が想定されます。

加盟店契約の解除やカード決済停止

PCI DSSに対応していない状態が続くと、カード会社やアクワイアラー、決済代行会社から改善を求められる場合があります。
重大な不備や情報漏えいが発生した際には、加盟店契約の見直し、決済サービスの一時停止、契約解除につながる可能性もあります。
そのため、クレジットカード情報を通過・処理・保存している事業者は、決済停止が売上や顧客対応に直結するため、速やかな対応が求められます。

ブランドイメージや顧客信頼の失墜

カード情報の漏えいは、金銭的な損失だけでなく、企業や店舗への信頼にも大きな影響を与えます。
事故が公表されると、顧客は利用を控え、取引先からも管理体制を疑われる可能性があります。
特にECサイトでは、決済の安全性が購入判断に直結しやすいため、信頼低下は売上減少やリピート率の低下につながりかねません。
そのため、カード情報の非保持化やPCI DSS準拠などのクレジットカードセキュリティ対策は、顧客との関係を守るための大切な基盤です。

関連記事:ECサイト事業者が行うべきセキュリティ対策とPCI DSSの必要性を解説

行政処分や法的責任の発生

改正割賦販売法により、カード番号等を取り扱う事業者には「カード情報の非保持化」または「PCI DSS準拠」のいずれかが実務上求められています。
漏洩の内容によっては、個人情報保護法の観点からも問題になり得ます。

関連記事:PCI DSSにおける「カード情報非保持」とは | 非保持化の推進理由

PCI DSS準拠で求められる6つの目標と12の要件

PCI DSS準拠では、6つの目標と12の要件に沿って、ネットワーク、データ保護、脆弱性管理、アクセス制御、監視、社内ルールを整備します。
以下では、それぞれの目標が実務上どのような対策につながるのかを解説します。

安全なネットワークとシステムの構築・維持

安全なネットワークとシステムの構築・維持は、PCI DSS準拠の土台となる項目です。
カード会員データを扱う環境では、外部からの不正アクセスや設定不備による侵入を防ぐ必要があります。
具体的には、ファイアウォールなどのネットワークセキュリティコントロール、アクセス権限、ログ管理などが求められます。
このような対策を継続することで、攻撃を受けにくい決済環境を維持し、後続のデータ保護や監視対策も進められる可能性が高まります。

カード会員データの保護

カード会員データの保護は、PCI DSSの中心となる重要な要件です。
クレジットカード番号や有効期限などが漏えいすると、不正利用や顧客対応、信用低下につながるおそれがあります。
そのため、必要以上にデータを保存しないことを前提に、保存する場合は暗号化やアクセス制限を行うことが重要です。
また、紙媒体で保管する場合も、保管場所や閲覧権限、廃棄方法を明確にし、カード情報が不用意に残らない運用を整える必要があります。

脆弱性管理プログラムの運用

脆弱性管理プログラムの運用では、システムやソフトウェアに潜む弱点を継続的に把握し、早期に修正する体制を整えます。
脆弱性を放置すると、不正アクセスやマルウェア感染の入口になる可能性があります。
また、実務では、セキュリティパッチの適用、ウイルス対策、脆弱性診断、発見された問題の優先度付けと修正が重要です。
単発の確認で終わらせず、定期的な点検と記録を通じて、リスクを管理し続ける流れを社内に定着させることが求められます。

強固なアクセス制御の実装

強固なアクセス制御は、カード会員データに触れられる人やシステムを必要最小限に絞るための要件です。
権限管理が不十分なままだと、退職者のアカウント残存や過剰な管理者権限が原因で、情報漏えいにつながる可能性があります。
また、利用者ごとのID管理、最小権限の原則、多要素認証、権限棚卸し、操作記録の確認を組み合わせることで、不正利用や内部不正を防ぎやすくなります。

ネットワークの定期的な監視と検証

ネットワークの定期的な監視と検証は、異常な通信や不正アクセスの兆候を早期に見つけるために必要です。
攻撃は気付かないうちに進行することがあるため、ログの取得、監視ツールの活用、脆弱性スキャン、侵入テストなどを計画的に実施します。

また、記録を残して定期的に確認すれば、問題発生時の原因調査や再発防止にも役立ちます。
監視と検証を継続することで、被害の拡大を防ぎ、正確な状況説明をできることにつながります。

情報セキュリティポリシーの策定と運用

情報セキュリティポリシーの策定と運用は、PCI DSSの対策を社内に定着させるための要件です。
技術的な対策を導入していても、従業員の判断や作業手順がばらつくと、カード情報の取り扱いに漏れが生じます。

また、ポリシーでは、データの管理方法、アクセス権限、教育、委託先管理、事故時の対応などを明文化します。
そのため、策定後は定期的に見直し、教育や点検を通じて、日常業務の中で実際に守られる状態まで落とし込むことが重要です。

関連記事:PCI DSSとは?認証における目的と要件一覧、対応方法を解説【図解付き】


加盟店レベル別に見るPCI DSS準拠の手続き方法

PCI DSS準拠の手続きは、加盟店の取引件数や決済環境、カードブランド・契約先の要件によって異なります。
以下では、訪問監査、ASVスキャン、自己問診票という代表的な確認方法を整理し、自社がどの対応を求められるかを考える手がかりを示します。

オンサイトアセスメント(訪問監査)

オンサイトアセスメントは、PCI DSSの要件を満たしているかを専門家が現地または実環境で確認する評価手続きです。
主に取引量が多い事業者や、カードブランド・アクワイアラーから求められた事業者が対象となります。

また、システム構成、ネットワーク、運用手順、証跡などを詳細に確認し、報告書として整理する点が特徴です。
自己評価より負担は大きいものの、客観的な確認によって管理上の弱点を把握し、改善計画を立てやすくなります。

脆弱性スキャン(ASVスキャン)

脆弱性スキャン(ASVスキャン)は、外部からアクセス可能なシステムやサーバーに弱点がないかを、認定スキャンベンダーが確認する手続きです。
PCI DSSでは、該当する環境について定期的な外部スキャンが求められる場合があります。

また、スキャン結果に問題があれば、修正後に再確認を行い、安全性を示さなければなりません。
すべての事業者に一律で必要とは限らないため、自社の公開範囲やSAQタイプ、契約先の要件を確認して対応しましょう。

自己問診票(SAQ)による確認

自己問診票(SAQ)による確認は、対象となる事業者が自社のPCI DSS対応状況を自己評価する手続きです。
決済方法やカード会員データの扱い方に応じて複数のSAQタイプがあり、該当する様式を選ぶ必要があります。

また、設問には実態に基づいて回答し、必要に応じて証跡を整理して提出先へ示します。
そのため、自己評価であっても、誤った選定や根拠のない回答は差し戻しや追加対応につながるため、事前にスコープと提出要件を確認することが重要です。

PCI DSSに準拠するための進め方

PCI DSS準拠を進めるには、現状把握から課題整理、改善方針の決定までを段階的に行うことが重要です。
自社のシステムや運用によって不足点は異なるため、以下ではギャップ分析、対応体制、期間・費用の考え方を解説します。

現状把握とギャップ分析の実施

PCI DSS準拠の第一歩は、自社のカード会員データの扱い方やシステム構成、運用ルールを整理することです。
そのうえで、PCI DSSの要件と現状を照らし合わせ、不足している対策や改善が必要な箇所を洗い出します。

また、ファイアウォール設定、アクセス権限、ログ管理などを項目ごとに確認すれば、優先順位を付けて対応しやすくなります。
ギャップ分析は、関係部署で課題を共有し、準拠までの道筋を明確にするための基礎の1つです。

自社対応と外部委託(アウトソース)の選び方

PCI DSS準拠を自社で進めるか外部委託するかは、社内の人員、専門知識、予算、対応期限を踏まえて判断します。
そのため、自社にセキュリティやインフラの知見がある場合は、内部対応でも進められますが、要件解釈や証跡整備に時間が掛かる可能性があります。

また、外部業者を活用すれば、スコープ整理や改善計画、審査対応の支援を受けやすくなります。
委託する場合も、作業範囲と最終的な責任範囲を明確にし、社内で確認しながら進めることが大切です。

準拠までに必要な期間と費用の目安

PCI DSS準拠に必要な期間や費用は、事業規模、決済方法、カード会員データの保存有無、既存システムの状態によって大きく変わるものです。
小規模な環境では短期間で対応できる場合もありますが、ネットワーク分離やシステム改修、外部審査が必要な場合は、数か月以上かかることもあります。
また、費用も診断、改修、監査、専門家支援の範囲によって変動します。
そのため、早い段階で見積もりと工程を整理し、優先度を付けて準備することが重要です。


まとめ:PCI DSSに準拠しないリスクと対応策を再確認

PCI DSSは、カード会員データを安全に扱うための国際的なセキュリティ基準であり、クレジットカード決済を扱う事業者にとって重要な対応事項です。改正割賦販売法にもとづき、カード番号等を取り扱う事業者には「カード情報の非保持化」または「PCI DSS準拠」のいずれかが実務上求められています。
これに対応しないまま運用すると、情報漏えいが発生するリスクが高まり、実際に漏えいが起きた場合には、損害賠償請求、カード決済の停止、信用の低下といった二次的な影響につながるおそれがあります。

対応を進める際は、まず自社の決済フローやデータの取り扱い範囲を整理し、12要件とのギャップを確認することが大切です。
負担が大きい場合は、カード情報の非保持化、クラウド型決済サービス、トークナイゼーション、専門ベンダーの支援を活用し、コストと安全性のバランスを見ながら継続的に管理体制を見直しましょう。

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